占有意思、物の所持によって得られる利益を自己に帰属させる意思を占有意思というが、占有権の取得には占有意思が必要であるとする立場(主観説・主観主義)と占有意思の有無を問わない立場(客観説・客観主義)がある。ドイツ法(ドイツ民法854条)やスイス法(スイス民法919条)は客観主義をとるが、日本法は自己のためにする意思を占有権取得の要件としている(主観主義。180条)。占有意思は客観的に占有を生じた原因につき定められる(通説)。ただ、日本の民法の解釈においても占有意思の要件については大きく緩和されており、潜在的・一般的なもので足りるとされ、不在中に配達された郵便物等にも占有意思は認められる。